こんにちは。てんらいです。
棚に並んでいる小説を眺めると“ホテルをテーマにしている小説って多いんだな”と、ふと思いました。推理小説であれば使いやすい舞台ですし、仕事系の小説やホラー小説でも使えるので、ホテルというのは裾野が広い印象です。
ということで、今回は数ある小説の中から、5冊をチョイスしました。
1.ホテルローヤル
ロイヤルではなく、ローヤル。第149回直木賞受賞作です。
今は廃墟となった北海道の釧路湿原を見渡すラブホテルを舞台にした連絡短編集。時系列が逆転しているので、読み進めていけばいくほど物語の点と点が繋がるようになっています。田舎の寂れたホテルが日陰の男女関係を切なく包み込んでいます。良き。。。
2.ホテル・ピーベリー
とある不祥事で教師を辞めた主人公木崎は、一度泊まるとリピートは出来ないというハワイ島のホテル・ピーベリーで3ヶ月過ごすことに。そのホテルで宿泊者が溺死する事件が起きてリゾートに似つかわしくない雰囲気が漂い始め、ホテルの関係者の人間関係にも変化が出始めます。
登場人物を深く描写しないので感情移入はし辛いかと思いますが、旅先で出会う人々の希薄さを表現する意図があったのかなという印象。
3.暗い宿
(角川文庫 著:有栖川有栖)
火村・作家有栖シリーズの一冊です。様々な宿を舞台にした推理短編集です。
個人的に好きなのは、上げてから落とす“ホテル・ラフレシア”の話です。
4.竜宮ホテル
(徳間文庫 著:村山早紀)
妖怪の類を見ることが出来る主人公の水守響呼が、住み慣れたアパートを失い、「竜宮ホテル」へと移り住むこととなることから話が展開していきます。執筆一筋で人と関わる事もなく、特殊な力を持つが故にその目に見える世界をも否定しながら生きてきた主人公でしたが、「竜宮ホテル」での生活で人や人以外の者たちと自然と触れ合うことで少しずつ変化が生じます。
終始、穏やかな空気感が漂っていて、平和な小説です。
5.ホテル・アルカディア
(集英社 著:石川宗生)
読後感は良い意味で“何だこれ”といった感じでした。
ホテル・アルカディアの支配人の一人娘“プルテンシア”が理由不明のまま引きこもりになってしまったことから、投宿していた7名の芸術家が元気づけて外に誘い出すべく、コテージ前で自作の物語を順番に語り出すのですが、それがなかなか奇想天外のオンパレードでぶっ飛んでいます。
機知に富んだ物語は読者をも楽しませてくれますが、全体を読み終わったあとの感覚は、夢を見た時のそれとほぼ同じでした。
今日はこのへんで。
まだまだあるので、そのうち第2弾やります。
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てんらい