この記憶はいつまで自分のものなのか?若年性アルツハイマーを扱った小説

 

f:id:chrocan:20200503152544p:plain

 

こんにちは。てんらいです。

 

 今回は、若年性アルツハイマーを扱った小説ということで、専門書は当然多くありますが、小説はそんなに多くないかなという印象です。

 

 

明日の記憶

光文社文庫 著:荻野浩)

 

 

 若年性アルツハイマー病を患った50歳のサラリーマンのお話。

 

若年性アルツハイマーについては下記に引用を記載しておきます。

アルツハイマー認知症は、

脳にアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まり、

神経細胞が壊れて死に減っていくため、

認知機能に障害が起こると考えれています。

また徐々に脳全体も委縮していき身体の機能も失われていきます。

 

アルツハイマー認知症ではごく定番ですが

「あれ?昨日の夕飯何食べたかな?」というような

最近の出来事を忘れてしまうという症状が見られます。

 

このような記憶障害は記憶を司っている海馬と呼ばれる部分に病変が起こり、

脳に記憶が出来なくなる状態が発生しているためです。

このような記憶障害が自分自身で認識する何年も前から、

実は脳のなかでは異変は発生しているのです。

 

アルツハイマー認知症は進行性のある病気であるため

完治することは現代では難しいとされています。

(日本福祉教育専門学校のHP https://www.nippku.ac.jp/faculty/08/column/?p=318より引用)

 

アルツハイマー認知症という言葉通り、認知症の1つですね。

若年性認知症の数については、 厚生労働省が平成21年に推計を出しています。少し古いデータですが、これによると、全国における若年性認知症者数は3.78万人と推計されるとのこと。(全てがアルツハイマーではないので注意)

(引用元:若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策についてhttps://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/h0319-2.html

 

 小説の中身に移ります。小説を読み進めると、溢れるメモ、通い慣れた道がわからなくなる等・・・日に日に症状がひどくなる様は読んでいて正直辛いものがあります。しかしながら、他のどんな病気にも共通しますが、こういったことは誰にでも起こりうる可能性があるので、知識の無い私は読んでよかったなと素直に感じました。

 

 また、凄いなと感心したのは、主人公の一人称視点で書かれている点です。これにより、ぐっとリアリティが増しているのと、症状が悪い方向に進むにつれ、文章の表現に影響が出る手法は面白いと感じました。

 

本小説については、映画にもなっています。渡辺謙さん主演です。

 

 

認知症を扱った小説といえば、「恍惚の人」も有名ですね。一応載せておきます。

 

 

 

 扱っているテーマは重いですが、あくまでもフィクションなので私は物語としては前向きに読みたいなと思っています。ここで紹介しているのも、こういったテーマをまずは小説として楽しんでいただいて、その後読んだ方が何かしら感じていただけたらなと思ってやっています。

 

小説の記事一覧はこちら

comprehensive-lifehack.hatenablog.jp

 

 

てんらい