ちょっと切ない。心を掴まれる小説。

 

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こんにちは。てんらいです。

 

 

 ちょっと切ない経験ってありますか?私は父方のおじいちゃんとの思い出の一つに切ないものがあります。

 

 父は3兄弟の真ん中で、妹(私の叔母)がいます。叔母にも子どもがいて、ここではAとでもしておきましょうか。Aは私のいとこですね。

 私のおじいちゃんですが、私のことを必ず最初にAと呼び間違えるんですね。「A!...〇〇!(私の名前)」といった具合です。

 

 幼い頃はこれがとても嫌で「おじいちゃんは僕より、Aの方が好きなんだ」って思ってました。第一、私が遊びに行っても"趣味の盆栽の世話があるから"と全く家にいなかったし。孫が来てんのにね。当時は盆栽全部ぶっ壊してやろうかと思ってましたが、ちょっと引くくらい(たぶん1,000を超えるくらい)あるので、それは早々に諦めました。盆栽の数はウソじゃないよ。

 

 その後、大人になるにつれて盆栽に取り憑かれたおじいちゃんの家に行く機会も減り、また私も名前を間違えられることに慣れていったこともあり、名前の思い出も記憶の片隅に追いやられていったのですが、最近おじいちゃんの家に久しぶりに行ったんですね。相変わらず大量の盆栽に囲まれて幸せそうでした。

 

 おじいちゃんは全く相手にしてくれないので、「懐かしいな」なんて思いながら家の中をウロウロしている最中、ふとおじいちゃんの寝室を覗いてみると、私が4~5歳くらいの時に書いたサイケデリックな似顔絵が今も飾ってあるんですよ。嬉しかったし、びっくりしました。ただ、あまりにもサイケデリックだったので、極楽浄土、曼荼羅的な意味合いで飾ってくれてただけかもしれない。

 

 そして、それを見た瞬間、幼い頃の名前を間違えられていたことに対する嫌な記憶がふと思い出されて、誰かにこのことを話したくなったんです。

 帰りの車の中で父親に「実は幼い頃、あれが嫌でさ~。おじいちゃんAの方が好きなんじゃないかっていじけてたよ」と伝えました。ハンドルを握って黙って聞いていた父親は前を見たまま私にこう言いました。

「妹(私の叔母)が一番可愛いんだから、その息子(A)が一番可愛いんだろ」

 

 

 

 

というわけで、本題です。

 

1.さよならクリームソーダ

(文春文庫 著:額賀澪)

 

 タグを付けるとするならば青春小説ですが、それにしてはずいぶん苦味(刺激、痛み?)が強い作品です。クリームソーダとは上手く言ったもんだなーと。

 ストーリーは美大に入学したての主人公が、ある先輩と知り合うことで、自身の問題と向き合うとともに、先輩の傷や秘密にも触れていくお話。

 大学生の明るい青春をこの小説に求めても満たされないので注意ですが、こういった胸がちょっとズキっとするような青春も、これはこれで心を掴まれるものがあります。

 

 

 

2.夏の庭

新潮文庫 著:湯本香樹実

 

 文庫本は1994年に発刊されているので、ずいぶん古く感じますが、中身は全く色褪せていないところが凄い。名作ですよね。

 人が死ぬ瞬間を見るために、主人公である3人の小学生達が町外れに一人住む老人を観察し始めます。

 

 そんな不謹慎(だと大人は思う)な、でも少年達にとっては悪意のない好奇心から始まる物語がはどんな結末を迎えるのでしょうか。

 この少年たちが物語の中で、目に見えて成長していくところに私はグッときました。

「良き、、、良きかな」とつぶやきながら読んでました。気持ち悪いですね。

 

 なお、私はどうしても大人目線で読んでしまいますが、これを子どもが読んだらどんな感想を抱くのでしょうね。

 

 ちなみに映画にもなっていてDVDで販売されています。

 

 

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comprehensive-lifehack.hatenablog.jp

 

 

てんらい