貴方はどう思う?結論の出ないテーマを扱った小説

 

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こんにちは。てんらいです。

 

今回は、結論の出ないテーマということで、少し難しい(かもしれない)小説です。ただ、読んだ後に考えさせられる小説なので、機会があれば読んでほしいです。

 

 

1.白い衝動

講談社文庫 著:呉勝浩)

 

 小中高一貫校スクールカウンセラーとして働く奥貫のもとに現れた高校生の野津が普通の悩み相談をするようにこう語りました。「ぼくは人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」

 一方、奥貫の住む町に、連続一家監禁事件を起こした犯人が暮らしていることがわかります。殺人衝動を抱える少年、犯罪者、地域住民、家族など・・・はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのかをテーマにした小説です。

 

 個人的には、最初に出てきた夢と現実の話が割と好きで共感できます。

殺人衝動を抱えた高校生と懲役を終えて、主人公たちの街にやってきた殺人鬼が結びつくまでのストーリは違和感が無くて良いです。

 一方で、元心理学者でもある主人公の共生的な思想も、その根底にあるものも結局多数派の私には理解出来なくて、置いてけぼり感が少しありました。

 あと、ただでさえ要素が多いのでミステリー要素は無くてもよかったのでは?とも。皆さんはどう感じましたかね?

 ただ、答えの出ないテーマでここまで書けるのは素晴らしいな、と思いました。

 

 

 

2.何もかも憂鬱な夜に

集英社文庫 著:中村文則

 

  有名な小説なので、書くまでもないかもしれない・・・。

 刑務官である主人公の現在と彼の孤児としての記憶を行き来しつつ、死刑制度と人の命について問うた小説、とでも言いましょうか。

 主人公は、夫婦を刺殺した”山井”という未決囚を担当しており、1週間後に迫る控訴期限が切れてしまえば、死刑が確定するという状況であったが、その山井が何かを隠している様子です。

 読後感は正直重いので、声を大にしておすすめとは言えません。しかしながら、読む価値はあると思います。

 余談ですが、小さい頃、ベッド脇の窓から月を眺めるのが好きでした。軽そうに浮かんでいるのに存在は重々しく、静かだけど圧倒的な存在感。作中の山井とは感覚が違うが、この小説を読んだ時に、そんなことを思い起こしていました。

 

 

 

 

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てんらい